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 ////★ 【魔法の秘密通信】 第20号 2004/4/28
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★                __−ニ二三三
  _______________/⌒‖ニニニニ三三
 └────────────  _‖ニニニ三三
            
                ハリー・ポッターと魔法の秘密(kmy)

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│ ■目次
│  ・魔女のつぶやき  
│  ・ペンシーブ(憂いの篩)考察
│  ・編集後記
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 魔┃女┃の┃
 ━┛━┛━┛
   つ┃ぶ┃や┃き┃
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 もうすっかり春になり、汗ばむくらいの陽気を感じます。ハリーたちにとっ
てはそろそろ学年末が近づく季節ですね。そして、第6巻の発売も近づいてき
ますね。スネイプ先生の秘密の任務が少しはわかるのか、気になっております。
それにはさらに再読しておかないと……。
今回はペンシーブについて考えてみました。個人の想像の域を出ませんが、
楽しんでいただけると幸いです。

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■■ ペンシーブ――機能、使用法、そしてスネイプ先生
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 ペンシーブ(憂いの篩)という魔法の道具には非常に惹きつけられるものが
あります。その理由は4巻下P373においてダンブルドアが話すことばに集約さ
れます。ハリーはそんな気持ちになったことはなかったようですが、わたしに
とってこのことばはずっと心に残り、まさにその気持ちを整理したくなる、そ
んなときにれがあったら……と感じてなりません。この魔法の道具が5巻で使
用された閉心術の場面が非常に気になりました。そこで、もう一度ペンシーブ
について考えてみることにしました。

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「時々、感じるのじゃが、この気持ちは君にもわかると思うがの、考えること
や想い出があまりにもいろいろあって、頭の中がいっぱいになってしまったよ
うな気がするのじゃ」
「あの」ハリーは正直に言って、そんな気持ちになったことがあるとはいえな
かった。
「そんなときにはの」
 ダンブルドアが石の水盆を指差した。
「この篩を使うのじゃ。溢れた想いを、頭の中からこの中に注ぎ込んで、時間
のあるときにゆっくり吟味するのじゃよ。このような物質にしておくとな、わ
かると思うが、どんな行動様式なのか、関連性なのかがわかりやすくなるのじ
ゃ」
(4巻下P373)
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●ペンシーブとはどんな道具なのか?
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 本来的なペンシーブの機能は、記憶を吟味するために使用する道具でのよう
です。ペンシーブへ記憶を入れて物質化し、そして憂いの「篩」ということば
の通り、記憶を漉していく、そうすることによって、記憶同士の関係や関連性
がはっきりとわかる、というものらしいです。


 実際にハリーはダンブルドアの記憶を体験しました。記憶その1として法廷
の場面が出てきます。ダンブルドア自身も登場します。これはペンシーブの働
きだと思いますが、記憶その1と関連した記憶が引き出されて現われます(バ
グマンの裁判の記→記憶その2)こちらもダンブルドアが登場し、一連のエピ
ソードとしてのまとまりを見せて終わります。次に登場する記憶は記憶その1、
2とは少々異なります。水盆をつつくとバーサの学生時代の映像(記憶その3)
が浮かび上がります。5巻においては、ハリーはスネイプの記憶を体験しまし
た(記憶その4)。最後にダンブルドアがペンシーブに記憶を落としてハリー
に見せたのは水盆から浮かび上がるトレローニー先生の予言の場面です(記憶
5)。少々整理してみますと、記憶1、2、4は記憶の持ち主である者が登場
人物として現れ、一連の時間的な流れにそって追体験するという記憶です。記
憶3、4はこれらと異なり、(誰かがあのときこう言ったというような)単発
的な状況を詳細に再現するものであり、ペンシーブにその人物が浮かび上がる
という形式になります。つまり、ペンシーブで記憶を再現する方法は二通りあ
るということでしょう。記憶1、2、4のような追体験モード、記憶3、5の
ような単純再現モードがあると言ってよいのではないでしょうか。


 ここで気になるのは追体験モードのほうです。こちらは複数の人物が登場し、
場面を再現します。記憶の持ち主の自分自身も登場します。「自分自身の登場」
はペンシーブの働きのひとつだと思います。記憶の関連性などを考えるために
この道具があるわけですから、自分自身の客観化がペンシーブで行われるので
はないか、と感じます。自分が見たものの映像ではなく、自身が登場すること
によって、より詳細をつかめるようになるのではないかと思います。(自分が
撮った風景写真より、誰かに撮ってもらった自分が写っている写真を見るほう
が当時の状況が思い出されるような気がします、そんな感じだと思います)


 そして、追体験モードの場合、記憶1、2のように続けて関連のある記憶を
結びつける働きがあるように感じます。ある一連の記憶を映像化して、続けて
見せることで考えや感情などを想い起こし繋ぎ整理していくのです。記憶3、5
のように、ある記憶を他人に見せるために用いるのは派生した使い方だといえ
るのではないでしょうか。記憶1、2はたまたまダンブルドアがペンシーブを
使っているところにファッジが来たため急いで〔記憶を戻さず〕片付けたため
にペンシーブに残っていた記憶を見ることができたわけで、他人が見ても単な
る映像の流れではないかと思います。自身が自身の記憶を見ることによって、
気持ちの上で整理をつけたり、考えたり、関連がひらめいたり、そういう道具
だと思います。自分の記憶を整理するために、自分自身が使う、というのが本
来の使用法だと感じます。

 ペンシーブの使用方法をもう一度確認してみましょう。
1)こめかみのあたりから記憶を慎重に抜き取る。
  ふわふわした銀色の細い糸状の物質となる。
2)水盆に落とす。ペンシーブに吸収されていく。
3)杖で水盆をつつく。
4)銀色の物質は急速に渦を巻く。その中に入り込むと追体験モードが始まる。
  また、単純再現モードの場合は誰かの姿が立ち上がり話し始める。

 しかしながら、5巻における閉心術の授業でスネイプは記憶を吟味するため
にペンシーブを利用したわけではなかったのです。スネイプは自身の記憶を物
質化させて、一時的に退避させるために用いたようです。
 ペンシーブに記憶を移した場合、単純に記憶を失う状態(=記憶喪失)にな
るということではなく、わだかまりのある記憶を一時的に客観化する作用があ
るのではないかと思います。ちょっとわかりにくいのですが、たとえば自分が
スリにあって地下鉄に乗っていたときに財布を盗まれるという体験をしたとし
ます。嫌な気分ですよね。後日、その地下鉄に乗ったときに「ここらへんで財
布すられちゃったんだ」と思い出すことがあるでしょう。あるいは、デパート
で同じ財布を見るとスリの記憶までよみがえったりするかもしれません。しか
し、この記憶をペンシーブに移したとすると、新聞の事件でのように頭の中で
は、「○月○日に地下鉄でスリ事件に遭う」という自身の感情を伴わない客観
的事実として頭の中で認識され、そのときの嫌な気分や、関連して思い出す嫌
な出来事などの連鎖が起こらなくなる(ペンシーブ内で展開される)のではな
いかと思います。

 嫌な記憶、忘れがたい記憶、何かの弾みで思い出したくない記憶というのは
誰にでもあると思います。もちろん、呪文が効いてハリーがスネイプの記憶を
見るという可能性もあったかと思いますが、スネイプはハリーと向き合うこと
によって思い出されてしまうジェームズたちの記憶を一時的に退避させ、訓練
中に突然その記憶を想起させないようという意図もあってペンシーブを使った
ように思います。ダンブルドアに頼まれた任務を遂行するにあたって、スネイ
プ自身は冷静でありたかったのかもしれません。

●記憶保管装置ではなく記憶再現装置である
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 記憶を物質化、客観化した上で再現させるもの、これがペンシーブの機能だ
と思います。記憶を移動させることから、5巻の閉心術あたりを読んでいたと
きに「外部記憶(保管)装置」的なものを感じさせましたが、実際はそうでは
なく、むしろ危険であると感じます。ペンシーブに入れた記憶は誰でも見るこ
とができます。ペンシーブへ記憶を移すことは外部に「保管」するのではなく、
誰でも閲覧可能な状態にすることなのです。また、その閲覧においては特別な
呪文がいりません。
 スネイプは閉心術という訓練時でペンシーブのもつ機能を一時的に利用した
に過ぎないのではないでしょうか。ペンシーブは記憶を保管することは適して
いないことは明らかです。あくまで記憶を再現してもう一度確認、認識するた
めの道具ではないでしょうか。

●なぜスネイプはペンシーブをそのままにしておいたのか?
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 ペンシーブを使用した後は(本来は記憶を吟味した後)またペンシーブから
記憶を頭に戻すという作業が必要になります。しかし、スネイプはその作業を
行なわないまま、トレローニーやモンタギューの様子を見にいっています。そ
してモンタギューの様子をスネイプが見ている間にハリーはスネイプの学生時
代の記憶を見てしまいます。「最悪の記憶」をハリーに見られる直前で、スネ
イプは注意深くいくつかの記憶をペンシーブにしまっていました。
(5巻下P341)
このことから、ハリーが見た記憶以外にもいくつかの記憶エピソードをペンシー
ブに移していて、その中身は「最悪の記憶」から想起されるもの(おそらく
ジェームズが関わっていた記憶)に違いないと思います。
 通常は使用した後に頭の中へ戻します。「(記憶を)注意深く自分の頭に戻
していた」(5巻下P188)とありますから、ペンシーブから頭の中に記憶
を戻す作業は慎重に行なわなければならない作業なのかもしれません。もし誤っ
た部分に戻した場合、その記憶で頭がいっぱいになってしまうのではないかと
思うのです。だからペンシーブを置いたまま部屋を出たのではないでしょうか。
トレローニー解雇事件、モンタギュー事件が起こったので、授業は打ち切りと
いうことになりました。ハリーは当然そのまま研究室を出るものとスネイプは
考えたのでしょう。モンタギュー事件のときにはドラコ・マルフォイが呼びに
来ていますし、魔法薬の補習という建前上、マルフォイがペンシーブに興味を
持つことも避けたかったのではないかと思います。それにしても、記憶を移し
た後のペンシーブはあまりに無防備です。誰かに見られないように、記憶の吟
味はこっそり行ないたいものです(スネイプは記憶を吟味するわけではなかっ
たのですけど)

●最後に
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 記憶というのは単なる場面の映像だけで成り立つものではないと感じます。
ある場所のある状況で自分がどうだったか、どう感じたか、そういう複合的
なものだと思います。ペンシーブは記憶を映像的に再現していますが、感情、
当時の気持ちなどはどうなのでしょう? このあたりについてはわかりません。
見ることによって、感情もよみがえってくるとは思うのですけども。
 スネイプのあの記憶は、屈辱的な気分を思い出すものとして忘れがたいもの
なのでしょう。その後ハリーとはその内容については一言の交わしていません。
自分が恥ずかしかった体験というのは、触れられるだけでも嫌なものです。ハ
リーを(授業などで)見るにつけて、最悪の記憶プラスハリーに見られたとい
う記憶がよみがえってきて、非常に嫌な気分になるのでしょう。だからこそ無
視という態度をとったように感じます。
 また、気になるのはダンブルドアがスネイプと閉心術をやめたことについて
の場面です。

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「スネイプは『閉心術』の訓練をやめた!」ハリーが唸った。「スネイプが僕
を研究室から放り出した!」
「知っておる!」ダンブルドアが重苦しく言った。
(中略)
「……スネイプ先生は、きみの父上に対する感情を克服できるじゃろうと思う
たのじゃが――わしが間違っておった」
(5巻下P639〜640)

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 閉心術をやめたことはダンブルドアに伝わってるということから、スネイプ
はペンシーブに移した記憶を盗み見た、とダンブルドアに話したのでしょうか。
記憶の内容も話したのでしょうか。ダンブルドアの口ぶりだと、ジェームズに
関する記憶であることを知っているように感じられるのが気になるところです。
そもそもペンシーブはダンブルドアのものでしたよね。スネイプが使う前から
承知の記憶だったのかもしれません。あの「最悪の記憶」とスネイプはもう
折り合いをつけたとダンブルドアは当初思っていたようでしたけど……個人の
記憶、想いはいつまでたっても「あのときのあのこと」として心から離れない
ものがあるようです。


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以下を参照しました。
4巻下P352〜375 (ダンブルドアの部屋で) →記憶その1、その2
5巻下P175〜188(閉心術授業初回)
5巻下P266〜273(閉心術授業、トレローニー解任の一幕で中断)
5巻下P341〜360(閉心術授業、モンタギュー事件で中断) 
  →記憶その3
5巻下P652(ダンブルドアの部屋で、予言再現)→記憶その4

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 編┃集┃
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   後┃記┃
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 今回、憂いの篩(ペンシーブ)について考えてみました。この不思議な道具
については謎も多いことですから、読者ごとに様々な考察がされていると思い
ます。サイト内の「憂いの篩」という本についてあれこれ管理人が考えている
雑多なページがありますが、こちらをブログ形式にいたしました。本の内容に
ついて考えてみたことなどを掲載しています。ちょっとした考察等、こちらの
方を少しメインに更新していこうと考えています。よろしくお願いします。


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