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気になる邦訳表現と魔法界の本の謎(SAKURAさん)

★kmy
SAKURAさんよりいただいたメールで、教科書『クィディッチ今昔』『幻の動物とその生息地』の邦訳で記述において気になる点があり、そこから物語世界への疑問へと考えが広がりました。SAKURAさんの考察を中心に紹介させていただきたいと思います。

『クィディッチ今昔』の誤解を生む表現

★SAKURAさん
 今まで、ずっと翻訳版(=静山社刊)を読んでいたのですが、ここへ来て、「あと1年以上も6巻が日本語訳されるのを待つのは耐えられない」との思いに至り、6巻はどうにか頑張って英語で読んでみよう!と、今までの復習の為に、5巻→1巻、『幻の動物とその生息地』『クィディッチ今昔』と読み返していたのです。そこで、物語の本筋からはそれてしまうのですが、ひとつの疑問が生じました。 『クィディッチ今昔』(P60 静山社)の「ファルマス・ファルコンズ」の部分を引用いたします。

世界的に有名なビーターコンビ、ケビンとカール・ブロードムアの存在が、その評判を定着させた。2人は1958年から69年の間在籍してプレーし、その不埒な行為で

 この部分をそのまま信じると、ケビンとカール・ブロードムアなる人物は、2027年までファルマス・ァルコンズに在籍していた事になりますよね? 素直に考えれば、この文章は2人の引退以降・・・2027年以降に書かれたものとなります。しかしながら、図書カードにはオリバーやハーマイオニー・ハリーの名前が列記されています。

★kmy
 この部分は翻訳者の考慮不足だと断言できるかもしれません。二冊の教科書には訳語にいろいろ不備な点があります。この教科書は邦訳4巻の前に出版されましたが、教科書と4巻で翻訳が微妙に違う単語があります。SAKURAさんの指摘された部分を原書から引用させていただきます。
The Falcons are known for hard play, a reputationconsolidated by their world-famous Beaters, Kevin and Karl Broadmoor, who played for the club from1958 to 1969 and whose antics resulted no fewer than fourteen suspensions from the Department of the Magical Games and Sports.
("Quidditch through the ages" Kennilworthy Whisp[J.K.Rowlling] broomsbury )
 原書では明らかに1969の文字が入っていますが、翻訳は「19(69)」を省いた「69年」になっており、「の間」ということばで誤解を生じるようになっているようです。

「魔法暦」は存在するのか?

★SAKURAさん
 幻の動物とその生息地、P94の「スニジェット」の脚注を引用致します。
※13 クィディッチの発達にゴールデン・スニジェットが果たした役割に関心のある方は、ケニルワージー・ウィスプ著「クィディッチ今昔」(ウィズ・ハード・ブックス発行、1952年)を参照のこと。
 この部分を素直に考えると、クィディッチ今昔は1952年に(少なくとも初版が)発行されたものとなります。 『幻の動物とその生息地』の奥付に2001年9月1日 初版第1刷発行とあり、その下に魔法暦2001年9月1日 第52版第1刷発行とあります。 クィディッチ今昔には魔法暦でいつ何版が出たのかは記されていません。

★kmy
 第52版と奥付に入れたのは静山社のアレンジのようです。原書には特に版に関しての記述がないようです。copyrightの部分に「魔法暦」的な記述はありません。『クィディッチ今昔』は1952年発行なのですが、何版かは不明です。しかしながら、1952年発行のものがそのまま使われいるわけではなく、加筆され、版を重ねて図書館の蔵書となっているようです。そのままの形で複製した、ということを文字通り受け取り、「ハリーたちが使っていた当時のまま」ということを考えると、ちょっとおかしな感じをうけます。この教科書が出たのは魔法暦2001年ということになっていますが、原書にはそうした記述はないように思います。copyrightの部分にフィクションはないようです。魔法暦2001年は翻訳者側で入れた部分ではないか、と思いますが、不要だったのでは?と感じます。(原書は確か3月に発行だったと思いますので、9月1日も静山社の発行月日であり、厳密には魔法的なものではなく、日本マグルとしての日付にフィクションを加えているようです。 購入した人にとっては作者の意図で入っているように感じますよね。原書は2001年3月12日発売です。『クィディッチ今昔』のハリーの貸し出し期限3月11日は、発売日の前日であることには何か意味がありそうに感じてしまいます。

★SAKURAさん
 原書には魔法暦の記載はないのですね。私は、松岡女史が「9月1日」という日付が好きな為にこの日を発行日としたのだと単純に考えていて、邦訳を出す為には当然、原書が先に出ている必要がありますから、(イギリス魔法界→イギリスマグル界→日本マグル界、という提供順序ですよね)「日本マグル界に提供された日=イギリス魔法界での2001年9月1日」なのだと捉えていました。当然、原書にも「イギリスマグル界に提供された日付」と、「その日付がイギリス魔法界においていつなのか」という奥付(copyright)があるのだと考えていました。原書に無い『魔法暦』の日付をわざわざ加える必要はないのでは、というkmyさんのご意見に全く同意です

★kmy
 この教科書に関する作者の設定にはマグルの暦と異なる「魔法暦」はないものと思います。それならば、この教科書はハリーが何年生のときの複製になるのか、という疑問が生まれます。こちらについて、SAKURAさんが考察してくださっています。

『クィディッチ今昔』のオリジナルはいつ発行のものなのか?

★kmy
 『クィディッチ今昔』は1952年発行なのですが、何版かは不明です。しかしながら、1952年発行のものがそのまま使われいるわけではなく、加筆され、版を重ねて図書館の蔵書となっているようです。そのままの形で複製した、ということを文字通り受け取り、「ハリーたちが使っていた当時のまま」ということを考えると、ちょっとおかしな感じをうけます。

★SAKURAさん
 私もこれは同感です。幻の動物とその生息地と同じく、良い本は何版・何刷も重ね て、テキストとして使用されているのだろうと考えました。日本マグルの『国語辞典』のように。 ハリーが最初に『クィディッチ今昔』を読んだのは1年生の時、初試合の対スリザリン戦の前です。
ハーマイオニーがいなかったら、あれだけの宿題を全部こなすのはとうてい無理だったろう。それに、『クィディッチ今昔』という本も貸してくれた。これがまた面白い本だった。(1巻 P264)

 ハーマイオニーが図書館から借りて、ハリーにまた貸ししたのかな?と捉えているのですが……。ハーマイオニーは1巻を読み返すと、箒に乗るのは他の教科に比べて得意ではないように思いますし、第3巻での言動からも、グリフィンドールが勝つのは嬉しいけれど、ハリーやロンほどにはクィディッチ自体に興味が無いように思います。寮対抗トーナメントの初戦に向けて、他の生徒に知識面で遅れをとる事に恐怖を抱いている彼女が、『歴史書』を読むような感覚で図書館で借りてきたのかな?と。
 貸し出しカードの名前はウッドが最初ですよね。ただ、ウッドはハリーが1年生の時に、パーシーと同じ5年生です。ウッドはそれ以前に、この本を読んでみようと思わなかったのでしょうか? 寮代表選手に1年生で選ばれるのはハリーが100年ぶりとの事でしたが、(1巻 P225)選手に選ばれて最初の年にキャプテンを任されることは考えにくいので、少なくともウッドは5年生の当時既に、2〜3年選手だったと考えます。1年生は個人用箒の携帯が許されていないとはっきり記述がありますが、果たして何年生から個人の箒をホグワーツへ持っていって良いのでしょう? 学校の箒は古くて試合には適さないようですから、(不可能ではないと思いますが、ウッドがすぐにマクゴナガル先生にハリーに個人用箒を持たせる事を提案していることから推測するに、)寮代表選手は個人用箒の携行を許された後に選考試験を受ける資格ができるのでは?と考えています。ウッドは卒業後にプロチームと2軍契約を結ぶほどにクィディッチが好きなのですから、寮代表選手になる以前、入学してすぐにでも、この本を読んでいたのではないでしょうか。他の寮の選手の名前も見られる事から、寮代表選手にとって必携本だった事は言うまでもありません。(ロンが借りていないのが不思議ですが、フレッドの名前はあってもジョージは借りていないことから、ジョージはフレッドと一緒に読み、ロンはハリーと一緒に読んでいたのでしょうか。ロンは、ハリーよりハーマイオニーより先に読んでいてもおかしくないように思いますが、ロンは根っから『読書』が嫌いなのかもしれません。図書館の貸し出しカードに自分の名前を書くなんて恥ずかしい、とか、自分の中で有り得なかったのかも?)
 ここまで考えてきて、2つの推察が頭の中で膨れ上がりました。

1:クィディッチ今昔をマグル向けに提供した日時に、魔法界に存在した最新版をダンブルドア先生が提供し、オマケ的要素として、ハリーファンのマグルが喜ぶよう、ハリー在籍当時(何年次かは不明)の貸し出しカードをマダム・ピンスから拝借し、付録として付けた。  

2:オリバーはこの本が大好きで、ことあるごとに図書館から借りて読んでいて、その度に新しい版になっていて新たな情報が加わっており、読むたびに感動してグリフィンドールチームの他のメンバーに読むように勧め、ハーマイオニーは図書館の本が定期的に新しい版になって新しい記述が増えている事に気付いていてこれらの本を定期的に借りていて、改版に気付いてはハリーに教え、ハーマイオニーの後にハリーが借りる事を繰り返していた。

 この本が魔法暦でいつマグルに提供されたかは不明だが、ダンブルドア先生がハリー好きマグルの為に、ハリー在学当時(何年次かは不明だが、オリバーが在学中のもの)の貸し出しカードを特別に付けた。 トヨハシ・テングの記述から察するに、(サッカーは静岡県ですが、クィディッチは愛知県なのですね。これも不思議。単にローリング女史の好きな地名だったのでしょうか?)私たちマグルの持っているクィディッチ今昔の版が(魔法界での)1994年以降の版であることは確かでしょう。ファルコンズの記載の「2027年」問題は解決したのに、さらに不思議を呼び起こされてしまいました。
 トヨハシ・テングの記述から察するに、私たちマグルの持っている『クィディッチ今昔』の版が(魔法界での)1994年以降の版であることは確かでしょう。

★kmy
 最初の貸し出しは11月なので、一年生のときに借りた版の複製であれば、ハリーの返却期限が11月のはずです。そうではないので、この『クィディッチ今昔』の複製版はハリーが一年生のときのものではないということになります。SAKURAさんの考察にありますように、オリバー・ウッド、マーカス・フリント(第1巻で五学年、3巻で卒業)が在学中のものです。マーカスは卒業ぎりぎりに借りたのでしょうか? 月並みな考えで押し進めてしまえば、原書4巻が2000年7月8日発売で、この本が2002年3月12日発売ということで、ハリーが4年生のときの複製ということになるのでしょうか。そうなると、ハリーの生まれた年が1980年(有力説による)から考えて、ハリー四学年は1994年になり、この本の内容が1994年まで、というのにも一応の納得は得られるかと思います。それにしてもトヨハシ・テングの試合は3月以前?ということになるのでしょうか。ずいぶん新しい内容が入っていますよね。それにオリバーが借りた時点は前年ですから、1993年になります。そうなると、この本は自動更新されている(魔法で?)と思えてきます。この点について、SAKURAさんがさらに考察して下さっています。

魔法界の書物はどうやって新しい情報を盛り込んだ最新版となるのか?

★SAKURAさん
 DAの会合日時を知らせるために、ハーマイオニーが偽のガリオン金貨を使っていましたね。
ハリーが次の日時を決めたら、ハリーの金貨の日付を変更します。私が金貨全部に「変幻自在」の呪文をかけたから、一斉にハリーの金貨をまねて変化します。 (第5巻上、P626〜627)

 魔法界の書物は、みんな変幻自在呪文がかかっているのではないでしょうか? 魔法界の書物にも、著者がいて、発行元があって、書店に流通しているという点はマグル界と同じです。ということは、印刷所と製本所もあるのでしょうか?電気で動く印刷機や製本機があるとは考え難いですよね。じゃあ、どうやって作っているのでしょう?いくら魔法でも、1枚ずつの紙に文字をプリントしていくというのは大変な気がします。
著者が羽ペンで羊皮紙に書く
      ↓
発行元が編集する
      ↓
「本」の形にした時のページ数が決まる
      ↓
各章ごとに少し余裕を持たせたページ数を指定して、製本・印刷業者に発注
      ↓
製本・印刷業者が白紙の羊皮紙を本の形にした状態のものを作る
      ↓
この状態で変幻自在呪文をかける(製本屋さん、印刷屋さん、発行元のいずれかでしょう)
      ↓
1冊に魔法で内容を記せば(スネイプ先生が魔法薬の調合方法を黒板に記すのと同じ呪文?)全ての本が「1冊目をまねて」印字される
      ↓
内容に新たな記述が必要になった際は、1冊目の内容を変更すれば他の本もそれを真似て最新の記述となる。その際、○版第1刷→○版第2刷、となる。
      ↓
余白が足りなくなったら、新しい「版」を最初と同じように作る。(今までの刷でまだ書店にあるものは発行元が回収するのでしょうか。)それが、第2版第1刷となる。

 いくら変幻自在をかけてあっても、ページ数が足りなくなったらダメなんじゃないかと考えました。(文字がひとりでに小さくなって無理やり収まるというのも考えましたが、読み難いですよね)
 ハリーが4年生の3月11日を返却期限日とする日に借りていて、ウッドが借りたのはその前年の4月9日が返却期限とすると、ハリーが借りた時、既にウッドは卒業している、ということになりますね。 (ハリーが4年生に進級する前の夏休み、クィディッチワールドカップの際にパドルミア・ユナイテッドと2軍契約を交わしたばかりだとウッド自身が語っています。(第4巻上、P130〜131)
 この本がマグル界に提供されるにあたり、ウッドが93年4月、ハリーが94年3月に借りた当時、図書館に置いてあったものを複製したと考えると、94年の出来事が記載される為には、変幻自在術しかないのでは、と思いました。変幻自在術はNEWTレベルだと5巻上、P628に記載されています。NEWTレベルの変身術のクラスを受ける為には、OWLで変身術にパスしている必要がありますね。
 そうすると、OWLレベルの変身術が苦手な子は習わない魔法という事になるのでしょうか。大人の魔法使いでもできる人と出来ない人がいそうです。魔法界の製本屋さん・印刷屋さんというのは、呪文学と変身術(物体を変化させる呪文)に長けた子が就く職業なのかもしれませんね。
 余談になりますが、ハリーが4年生の3月頃に借りた、ということは、対抗試合の真っ最中なんですよね。第2の課題が2月24日午前9時から、とあります。(第4巻上、P556)本を借りた日から返却期限日までが1週間〜10日程度と考えると、丁度、ロンが湖の底でのできごとを魔法の眠り版→誘拐版→魔法の眠り版に落ち着かせたあたり、「6月24日までは何も考えなくていい」とホっとしていた時期でしょうか。クィディッチトーナメントが無いのを寂しく思って、気晴らしにお気に入りの本を借りたのでしょうか。

★kmy
SAKURAさんの考察で、確かにこういう魔法を用いれば図書館の本が自動更新されるわけも納得できますね。このあたりネットで自動アップデートするソフトのようなイメージがあります。登録しておくと常に最新版に更新されるという感じです。 魔法暦自体は作者の設定にはないようですが、西暦はキリスト教に端を発していると言えます。そのことから発展した暦について、イギリス魔法界とキリスト教について、SAKURAさんにさらに考察をいただきました。


魔法使い、キリスト教、暦について複合考察  (SAKURAさん)


魔法使いにとっての暦

 ホグワーツの授業には天文学と占い学がありますね。 占い学は3年生からの選択授業で、トレローニー先生を面接する際、ダンブルドア先生は占い学という科目を続けるべきなのか?と考えていたようです。ハーマイオニーが数占いという科目を受けている事からも、何らかの「占い」に関係した授業をとることが必須なのでしょうか?
 天文学の基礎がないと、占いに関する授業は難しいのでしょう。天文学の授業は夜間に行っています。魔法で天体図を作り出して昼間に観察させることもできるのではないかと思うのですが、(ガラスに入った太陽系の模型が出てきましたよね)わざわざ実際の星を望遠鏡で観測させています。天文学というのは神話や占い、そして暦や曜日という概念の元になっているのです。
 形こそ違いますが、ギリシア・ローマ・エジプト・イスラム・中国・日本、どの国でも、占いをする人=天文学の専門家、です。日本でも少し前に陰陽師というのがブームになりましたね。平安時代のお役所には陰陽道(星の動きから吉凶を占い、どこに寺社を建てるかとか、天皇の外出の日時を決めたりしていました。暦を作るのもこの人たちの仕事です。)を専門に行う人たちがいて、この人たちはもう少し前の時代から、代々天文学の専門家なのです。 ハリーの生きている時代にはコンピュータもラジコンもプレステもあるのですから、(まだ携帯電話が出てきませんね。これもハリーの生年を読み解く鍵になるでしょうか?) マグル界では、ある程度の天体の動きは法則化されていて、(地軸の傾きとか自転とか、理科の時間に習いましたね。)模型が存在することから、魔法界でもそれは周知と考えます。(ダイアゴン横丁で模型が売っているのを見て、「これがあれば天文学の宿題に苦労しなくてすむ」とハリーが考えています。第3巻ですね) あんなに夜間寮を抜け出すことを厳しく見張っているのに、わざわざ夜間に本物の星を見せる授業をするのは何故なのでしょうか。魔法界では、天体の動きはマグルがコンピュータで法則化して捉えているようには考えておらず、日々、新しい動きを観察して読み取ろうとしているのでしょうか。
 第3巻で、ハリーが毎日ダイアゴン横丁を歩いているときに、「望月鏡」が出てきました。「もうこれでややこしい月面図に悩まされなくてすむ」というようなセリフが出てきましたね。このセリフの発言者は天体観測を仕事にしている人なのでしょうか。私たちマグルが普通に生活していて、毎日毎日月をみるというのは・・・天体ファンか専門家くらいですよね。十五夜でもない限り、なにか月の満ち欠けにひっかけたお呪い(子供の頃、しませんでしたか?これ、ハリー達の世界では立派な魔法かもしれませんね)でもしようと考えるのでない限り、一般マグルは日々月を観察する必要性を感じていません。 魔法界では11歳の子供に夜更かしをさせてでも、1年生から天文学は必修のようです。占いに関する学問以外にも、たとえば薬草学(満月の時だけ収穫できる植物とかありそう)や魔法薬学(ベリタセラムを寝かせるのに月の満ち欠けがでてきましたよね?)などにも天文学は必要なのでしょう。魔法生活において、天体の動きというのは非常に重要なのかもしれません。
 天文学を全員にみっちり教えるのですから、やはり魔法界には魔法界独自の暦のようなものが存在すると思います。ダイアゴン横丁には魔法薬の材料を売っているお店はあっても、魔法薬そのものを売っているお店はないようですし、(もしかしたらハリーには必要無いので出てこないだけかもしれません) 魔法界の一般家庭では魔法薬が必要になったら自分で調合するのでしょうか。そうすると太陰暦のようなものが(私たち日本マグルが普段使っているのは太陽暦です。太陰暦はお月様を基準にした暦です)あったほうが便利だと思うのです。

魔法界の人々は(広い意味での)クリスチャンなのか?

 魔法暦の記載は日本マグル版のオリジナル、と考えると、魔法暦と(イギリス)マグル暦が一致しているのかどうかというのは別問題ですね。それでも、ハリーやハーマオオニー、他の多くのマグル出身魔法使いは、マグル暦と魔法暦の間を行ったりきたりしているはずです。
 そういえば、曜日の習慣というのも宗教に根ざしています。土日休みのホグワーツ生は、まごう事なきキリスト教徒なのでしょうか?マグル出身の子はホグワーツ入学前の習慣が土日休みをアタリマエと捉えさせていると考えられますが、ホグワーツに居る間の日曜日に教会に通ってる様子は見受けられませんし、ホグズミード村にも教会は無いようですね。もっとも、現在のイギリスではあまり宗教的な観念は見受けられず、休みは休みとして受け入れられているのかもしれません。
 魔法暦とマグル暦(=西暦=キリスト教暦)が一致している、というのが、そもそも、私にとっては不思議です。もっとも、ホグワーツではクリスマスもイースターも休暇ですし、キリスト教の影響を強く受けているので、日本の元号とは違い、魔法暦も西暦も同じなのかもしれませんが、ハリーが魔女狩りのレポートを書いている事から、ますます不思議になるのです。キリスト教は魔法や魔法使い・魔女を否定してきたのではなかったでしょうか?
 イギリスの方は、日本人と同じように、多文化のお祝いをうまくイベントとして取り入れる事ができるのでしょうか?日本の元号が『天皇=現人神』とされていた当時から面々と続いているように、暦上の「○△■×年」というのは、宗教に則っているのです。あまり明るくはないですが、イスラム暦や中華暦(台湾と中国では微妙に異なりますが)、インド暦など、たくさんの宗教に則った暦があり、その中でも西暦=キリスト教暦に諸国が合わせています。(インド暦にはヒンズー暦と仏教暦があります)
 中世の頃、魔女狩りというのがあったというのは、日本マグルの世界史の教科書にも出てきます。とりあえず、中世ヨーロッパの一般マグルの人々の宗教観において、魔法や魔法使い・魔女というのは憎むべき、一掃しなければならない存在だったのです。宗教と政治が一致していて、進化論もなければ世界地図もない時代です。人々はアダムとイブの子孫で、アダムとイブは神様が作り、世界は丸いお盆の上にあって、船に乗って海の端っこまで行くと違う次元に落っこちて帰ってこられなくなると信じられていました。地球は「球」状ではなかったのです。
 ハリー・ポッターがブームに沸きはじめたころ、アメリカで学校にハリーの本を持ち込むことを禁止した、とか、ある団体がハリーの本を焚書にした、教会が禁書にしたというニュースが流れたことがあります。これに対し、ローリング女史は「ハリー達はクリスマスもイースターもお祝いしています。反キリスト教の本ではありません」とコメントされています。
 反キリスト教の本ではない、けれど……?
 前述の通り、ホグワーツは土日休みであるらしいこと、ミサに通っている様子は見受けられません。ハリーのホグワーツ入学以前、「コチコチのマグル」であるダーズリー夫妻は、ハリーをミサへ連れて行かなかったのでしょうか?(国教会系ではどういう教えなのかわかりません。ローマ教会系と比べると進化論にも寛容な感じです)教会は魔法を悪、とまではいかなくても存在してはならないと考えていました。『ハリーのなかから あれ を叩き出してやる!』と決意していたのですから、ハリーを熱心なクリスチャンにすることはとても効果的だと考えられませんでしょうか? それとも、ハリーの為にわざわざ何かしてあげるというのはありえないことで、ミサに行くときもフィッグばあさんに預けていたのでしょうか?ハリーをできるだけ惨めにしておくために、たとえ行き先が教会であったとしても、「お出かけ」自体をさせなかったとも考えられます。
 ホグワーツには礼拝堂のような施設があるのでしょうか?それは、ホグズミードにもあるのでしょうか?
 ハーマイオニーをはじめとして、ホグワーツにはマグル出身の子がたくさんいます。中には、熱心なクリスチャンの家庭で育った子もいるのではないでしょうか?そういう子の精神的安息のためには、礼拝堂のような施設がないとすれば、可哀想です。古来、学問は宗教家にだけ許された道でした。頭のよい子が生まれると、高等教育を受けさせる為に教会に入れたのです。その子の信心はどうであれ、修道士として生活しなければ大学には行けなかったのです。大学で教える学問はすべて宗教から派生した法律だったり、天文学だったり……。
 現在、そういった大学のいくつかが、有名大学として残っています。もちろん、そのような学校に入学できる階級の家庭にいる子であれば、宗教心には関係なく入学できると思いますが。ホグワーツがイギリスのパブリックスクールを下敷きにしているとすれば、大きなパブリックスクールに礼拝堂が無いとすると、あれれ?となってしまうのです。
 ウィーズリー家の人々もシリウスも、クリスマスをお祝いし、ウィーズリーおばさんはイースターエッグを送ってよこします。ここで、マーリンの存在が気にかかります。アーサー王伝説において、マーリンは平安時代の陰陽師のような存在としてえがかれています。イギリスマグル界ではエリザベス女王(=英国国教会の首長)からもらう勲章は非常に名誉ですが、イギリス魔法界ではマーリン勲章がその名誉に匹敵するようです。ハリーのゲームをしていて気づいたのですが、(どうにか頑張って3作すべてクリアしました・・・)ゲームには蛙チョコレートのカード?に似た魔法使いカードをコレクションしていくという横筋があります。このコレクションカードの1番目はマーリンなのです。魔法界の人々の生活において、マーリンは重要人物なのではないかと考えました。勲章を授ける人=教会の首長というのが魔法界にも当てはまるのであれば、魔法界にはマーリン(ハリーの生きている時代にはマーリンは既に亡くなっていますから、代々受け継ぐローマ法王のような人がいるのかもしれません)から始まった独自の宗教のようなものが存在するのではないでしょうか?魔法大臣とマグルの首相にはホットラインがあるようですし、魔法世界も政治と宗教は長が別なのかと考えます。

ダブルスタンダード生活?

 元旦には初詣、お彼岸とお盆(元旦は西暦なのに、お彼岸とお盆は旧暦と今の暦の両方の地域があるのが日本独自です。中国は旧正月でしょう?)にはお墓参り、クリスマスケーキを食べ、亡くなったらお坊さんにお経をあげてもらう、というのが一般的な日本マグルですよね。中には、信仰に熱心でほかの宗教の行事をなさらないご家庭もあるとは思いますが・・・。かといって、多くの日本マグルに信仰心が薄いとは私は考えていません。「バチがあたる」という概念を持つのは日本人だけなのだそうです。これは、石ころにも木にも神様を見出す、八百万信仰から来ているのでは?というのが多くの学者さんの見解です。例えば、海外旅行に行って教会のステンドグラスや彫刻を見学するとしますね。モスクでもいいです。私たちは、それに宗教的な意味は見出しません。単にキレイだから、見たいから見に行きますね。たまたま見学に行ったら中で信者の方が熱心に祈っていました。多くの日本人は、祈っている人の邪魔にならないようにします。指差して笑ったりはしません。そんな事をしたら、「バチがあたりそう」って思いませんか?たとえ、彫像にすがりついて泣いている方を見かけても、不思議に思ったり、「あの人ヘン!」という感想にはならないでしょう。私の知る限りでは、アジア諸国でこれが当てはまるのは日本人だけなのです。多くの宗教が一神教で、ほかの文化の神様や、その神様を信仰している人を人と思わなかった歴史(十字軍などはまさにコレです)から、どうやら、日本以外の国の方にとって、自分の信じる宗教以外の習慣は受け入れ難いものであるようです。
 神道と仏教が融合して仲良く存在したように、日本人はおおらかに他の文化の神様を受け入れることができるのです。七福神なんていろんな国の神様の寄せ集めですものね。
 魔法界はマグルの世界と密接に関係しています。マグル出身の魔法使いもたくさんいます。魔法界にも独自の宗教観のようなものや暦のようなものは存在していて、しかしながら、魔法界の人々は我々日本人のようにマグル界の宗教観や暦に寛容なのではないでしょうか?クリスマスもイースターも、バレンタインも(これも厳密に言えばキリスト教の聖人のお祝いですよね)マグル出身者から魔法界にもたらされ、単にイベントとして楽しんでいる、と。学校がお休みになるのは、マグルの親を持つ子供たちが、いくら全寮制だからといってその時期に帰宅しないのではご近所に怪しまれる、という理由のような気がしてきました。
 ユダヤ教では土曜日がお休み、キリスト教では日曜日がお休みです。(難しい歴史の話になってしまうので理由は割愛します)現在のイギリスマグル界では土日がお休みですよね。日本社会の土日休みも西洋からもたらされたものです。もともと、日本にも中国から入ってきて独自に進化した7曜日があったのですが、日曜日を休日としたのは、明治維新以降、明治6年です。明治政府は当時のイギリス政府に倣っていたので、イギリス式にしたのだと思います。
 明治以前はお正月にみんな一斉にひとつ年をとり、決まった休日はありませんでした。これは、日本人が農耕民族であることにも関係していると思います。植物を相手にしていたらお休みできませんもの。日が昇ったら起きて、農作業をして、日が暮れたら寝て、雨が降ったらお休みです。
 イギリス魔法界でも、休日はマグル界との整合性の為に土日と定められて、それから随分経っているので、今の日本人と同じく、当たり前の習慣として受け入れられているのではと考えました。
 ホグワーツの授業が土日休みなのも、マグル出身の子が混乱しないように日曜を休日にしていたのを、マグル界で土曜も休みにしたのでそれに倣ったのではないでしょうか。 それが面々と続いてきて、土日休みはあたりまえの習慣になっているのでは。キリスト教の休日が日曜だから、日曜日がお休みです、というのでは無いような気がするのです。だから、日曜日だからといってミサに行っているそぶりが見えないのではないでしょうか。

★kmy
 このあたりの問題は難しいですね。以前にも少しだけ考えてみましたが、イギリス文化、キリスト教に明るくないわたしにとっては本当に謎です。ハリー・ポッターの魔法界において、キリスト教徒対立する魔法使いという図式は4巻で「魔女裁判の町セーレムの魔女協会」(4巻上P127)などの記述がありますから、全く無関係とはいえないと思います。純血を誇りに思う魔法使い一族がマグル式に合わせるのかどうか、ということも少々気になるところですが、魔法使いもマグル出身者が増えていくなかで変化していったのかもしれません。

★SAKURAさん
イギリス魔法世界の人々の宗教観・暦・曜日に関する考察はまだ途中で、今後も続けていきたいと思っております。

★kmy
SAKURAさんの考察、今後も楽しみにしています。