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狼人間----その特徴と魔法界の偏見 by
kmy
ハリー・ポッターにおける狼人間は、通常の伝説などに言われているものとは少し異なり、独自のイメージを形作っているように感じます。また、3巻で登場した重要キャラクター、リーマス.J.ルーピン教授のイメージとも重なり、興味深い研究対象に感じています。1巻からところどころに狼人間についての記述等があり、それに関してハリー・ポッターの魔法界においての狼人間とはどのようなものかまとめてみました。こちらはスネイプ先生への提出課題『人狼の見分け方と殺し方』とは異なります。『人狼の今後の展望と未来』と言ったほうがよいかもしれません。
【一般的な伝説における人狼】
一般的に狼人間として知られている伝説では、一世紀のローマの著述家ガイウスの『自然史』に民間に伝わる迷信として話があり、大昔は吸血鬼と同一視されていたようです。伝承に見られる人狼は狼と人間の中間の姿ではなく、人間の言葉が話せる狼か人間が四つんばいになったくらいの大きさの狼としてのイメージで語られていました。(ハリー・ポッターの狼人間も姿は狼と人間の中間ではなく、見た目は狼のようですね)人狼になるパターンとしては、生まれつきの場合、狼や人狼に噛まれてなる場合、自発的に魔女などが月光を浴びて秘薬を塗って変身するというものなどがあります。噛まれてなる場合というのは、狂犬病がモデルと言われています。妖怪じみた狼の伝承などが東欧に見られ、この場合は森の恐怖の象徴として語られているようです。月を見ると変身すると言われていますが、これは映画や小説におけるフィクションで、伝説・伝承にはないそうです。これは狼や犬の遠吠えから作り出されたイメージのようです。ハリー・ポッター世界における狼人間は、このような伝説等に似通った部分もありながら、独自のイメージをもっているように感じられます。
参考文献:『魔法事典』山北篤監修 新紀元社
【狼に人間の特徴】
本当の狼とは鼻面が異なっているらしいが、詳しくは不明。闇の魔術の防衛術で使用している教科書には記述があるのかもしれません。特別に見た感じですぐにわかるものでもなさそうです。
【狼人間になった場合にでる症状、体質】
狼人間に噛まれたヒト(魔法使い&マグル)だけが狼人間になり、一ヶ月に一度、満月の時にだけ残忍な動物に変身します。他のどんな獲物よりもヒトと求めるとの記述が『幻の動物とその生息地』にあります。
【狼人間に効く薬】
脱狼薬(wolfsbane potion)薬の元々の英語は、wolfsbane(トリカブト)という植物を表す単語と薬の意味のpotionが合わさってできた造語ですが、wolfsbaneを分解すると、wolf(狼)+bane(破滅)の重なった単語になり、トリカブト薬というトリカブトを原材料としたイメージを持ちつつも、意味的に狼破滅薬も同時にあらわすことになる面白い薬の名前ができています。トリカブトといえば、1巻の一番最初の闇の魔術の防衛術でも出てきた薬品材料ですが、こちらにつながる伏線だったのかもしれません。こちらの薬の開発は最近の発見ということで、まだこの薬の調合に熟練した魔法使いは少ないようです。この薬を調合できる数少ない魔法使いの一人がセブルス・スネイプ魔法薬学教授です。また、この薬の服用に関する注意ですが、満月の前、一週間の間飲み続けなくてはなりません。その服用を中断した場合は、それが一回であっても効果がないということのようです。また、非常に飲みにくい味がしますが、砂糖を入れると効き目がなくなりますので、こちらにも注意が必要です。この薬の効果としては「最悪の状態を軽減する」ということであり、変身しないで通常のヒトとしての姿を保つという作用ではないということには着目してもよいかもしれません。薬の開発は画期的なものではありましたが、狼人間自体の症状を「軽減」するにとどまり、通常のヒトへ戻る薬ではありません。見た目はやはり狼へと変身するようです(3巻P456参照)自分の心を保つことができる薬であって、他の魔法使い(ヒト)から見ればやはり残忍な狼人間に見えるのかもしれません。この薬の発明によって狼人間の人権を著しく上げたという効果は薄いように感じます。薬のさらなる発展を期待します。
【狼人間に関する法律、部署】
1巻(P385)でハーマイオニーが「1637年の狼人間の行動綱領は勉強する必要がなかった」と言っています。行動綱領があるということは、狼人間になったヒトに対してはその行動についての基本方針があり、それにそって行動してもらうというものではないでしょうか? 具体的内容は不明ですが、他のヒトとは明確に区別されて、生活の一部が制限されたりするのかもしれません。また、魔法省には狼人間に関する部署として、存在課に狼人間援助室があり、動物課に登録室と捕獲部隊があります。長年にわたり、狼人間の存在は両方の課から疎まれているとのことです。登録室があるということで「狼人間」というある種レッテルを貼られ差別的に扱われているようにも感じます。また、捕獲部隊がある、ということで「捕獲する動物」としての意識を魔法界でもっているという印象を受けます。援助室があるということで、こちらがもとになり脱狼薬の開発などを進める魔法使いがいるのかもしれません。狼人間は信用されていないということが、この魔法省の分散部署などにも見受けられます。
【狼人間に対して抱かれているイメージ】
狼人間の存在は、魔法省で疎まれているということからも予想されるように、魔法使いたちにとってもかなり忌み嫌われる存在のようです。禁じられた森には狼人間が住むと信じられているようです。1巻で処罰のために禁じられた森に行くことになったドラコ・マルフォイや、2巻でアラゴクを探しに森へ行くことになったロン・ウィズリーも「森には狼男がいる」と話しています。魔法界の子どもたちは、ホグワーツの禁じられた森には狼人間がいるという話を、親や兄弟から聞いているのかもしれません。しかし、実際に狼人間の被害にあったということがあれば、事件として伝えられているでしょうし、ルーピン先生のような狼人間が実際に禁じられた森に住んでいるとは思えません。あくまで噂に過ぎないのではないでしょうか。実際の狼人間は、ルーピン先生から予想されるように、満月の晩以外は通常のヒトとしての生活を営むことができるのでははないかと思われます。ただし、その症状が出るときには身を隠したり、就労が困難という話からも、実際に普通の社会生活を営むのは偏見との戦いなのかもしれません。
【月齢と狼人間の関係】
実際のマグル暦の月齢と、物語がリンクしているのではないだろうか?と興味をもって月齢を調べてみました。このサイトのカレンダーを参照していただくとわかりますが、こちらではハリーの誕生を1979年にして考えています。物語3巻は1992年〜1993年の設定ではないか?ということになり、ルーピン先生が変身した日は1993年6月6日になります。カレンダーページを参照していただけるとよくわかりますが、「10月16日の金曜日に恐れていたことが起こる」と占い学のトレローニー先生が予言していた日時は1992年に合致します。このことより翌年は1993年と推測していますが、1993年の6月6日は日曜日になります。残念ながら、この日は満月ではありません。1993年の6月の満月は6月4日の金曜日になります。ですが、ここで注目したいのは、1993年の6月6日の木曜という設定が物語でわかりますが、この1993年の6月6日は日曜になります。ですので、試験がある木曜日というのはマグル暦で考えますと、6月3日の木曜日ではないかと推測します。この日、三人はテストが終わって夕食を食べてから、ハグリッドの小屋へ行きます。その後、いろいろ出来事が起こり、その間にルーピン先生が狼人間に変身します。このあと、ダンブルドア先生がタイムターナーの使用を示唆しますが、そのときの時間は真夜中5分前と言っていることから、ハグリッドの小屋〜狼人間への変身〜医務室というのは深夜0時の3時間ほど前、21時から0時の間も3時間の出来事ではないでしょうか。なので、ルーピン先生が変身したのはこの間2時間ほどたったときではないかと思われます。なので時間にすると夜23時過ぎくらいかもしれません。完全に満月になる時間は6月4日の12時30分〜13時の間ということなので、この6月3日の深夜は限りなく満月に近い月が出ていたということになります。なので、完全に満月になる時間が昼の場合、前後の日も変身する可能性があったということになってつじつまが合うのではないかと考えました。『幻の動物とその生息地』の記述により、月に一度満月の晩は変身するということになり、ルーピン先生が変身した日は「変身のきっかけになるものある日」であったと考えられます。ここで気になるのは、満月の晩になると必ず変身するのではなく、どうやら満月の月の光を浴びることが変身のきっかけになることだということです。ルーピン先生が月光を浴びるまでは通常のヒトの姿・ヒトの理性を持っていましたから、満月の晩という特定の日が誘引になるのではなく、満月の月光が誘引になって変身するらしいことが判明します。満月に近い狼変身へ誘発する月光があるということでしょうか。なので満月の晩であっても、雨や曇りのときには狼には変身しないのではと思われます。少々こじつけのようですが、ご了承ください。
また、ハロウィーンの時に薬を飲んでいたことにより、一週間薬を飲まなければならないということで、満月は11月の1日以降を調べると11月10日が満月なのでちょっと計算があいませんが、11月13日(金)の闇の魔術の防衛術の講義を欠席していることから、11月10日に備えて薬を飲み始めたのが10月末ということになるのかもしれません。クリスマスの祝宴にも出席しなかったルーピン先生ですが、クリスマスイブの日は実は新月になります。狼に変身していたという可能性は低く感じます。こちらのことで考えられることは、狼人間の性質というのは単に満月に狼に変身してヒトを襲うだけではなく、精神的な苦痛もあり、また変身後にも狼としての性質に耐えたことにより、かなり体に負担がかかるのではないかと思われます。あるいは、薬の副作用によりそのために、満月後の数日は場合によって具合が悪くなるのかもしれません。そのために、数日の間姿を見せなかったりしたのでは、と勝手ながら予測してみました。
月齢参考サイト:こよみのページ
【狼人間の今後と未来】
狼人間の性質を見ていくと、「満月の晩の変身誘引作用のある月光」を浴びることにより狼へと変身するのではないか、ということが感じられます。その他の日は安全といっても過言ではないのではないでしょうか?症状自体が満月の月光を浴びなければ決して危険な人物というわけではないはずです。また、脱狼薬の発明により、狼に変身したとしてもヒトに危害を加える恐れは確実に減っているはずです。ですが、魔法界にはかなり狼人間に対する偏見があり、3巻P514にあるように「狼人間は仲間内では信用されていない」と言われています。脱狼薬の発明が最近ということから、それまで狼人間になってしまったヒトはなすすべがなく、友人・知人であっても襲い掛かり瀕死の重症を負わたことなどがおそらくあったのではないでしょうか? また、魔法省においても部署が分散しており、狼人間になってしまったヒトに対しての援助が期待できない状態が続いています。今後、こうした部署の整備を進め、ぜひ偏見を取り除いて「森に住んでいる」などの誤ったイメージの払拭に努めて欲しいものだと感じます。また、更なる脱狼薬の開発に期待し、変身抑えられるようなそんな薬の開発が待たれます。
【番外----ロックハート先生の『異形戻しの術』とは?】
2巻で大活躍?の美男子ロックハート先生の著書には狼男に関するものがあります。タイトルは『狼男と大いなる山歩き』。この著書で、「自分がやり遂げた」という活躍を描いています。「非常に複雑な『異形戻しの術』(Homorphus Charm)をかけて村人救ったと言っています。こちらの話が事実ならば、狼人間を元に戻すことができるのでは?という可能性も感じます。しかし、視点としては「村人を救った」ということになりますので、狼人間を無害なヒトへ戻し狼人間自体を救ったように感じないことが気にかかります。狼人間が変身したときはヒトとして扱われないで、残忍な動物としての意識で扱われるのではないでしょうか? ですので、狼人間のその後の様子をこの著書ででも少し詳細に知りたいところです。村人が安全になった後は、狼人間にだったヒトも社会生活を営めるようになったのかどうかと・・・・・・。3巻でもスネイプ先生が「人狼の見分け方と殺し方」というレポートを提出させようとしているので、狼人間であった場合は殺しても罪にならないという法律があるのかもしれないのが気になるところです。ですが、もし、この『異形戻しの術』が単に村人を救っただけでなく狼人間も救っているのであれば、ぜひこの複雑な術で多くの苦しむ狼人間たちを救うことはできないだろうかと思うところです。肝心のロックハート先生は、自身の著作は他の魔法戦士の偉業を横取りして書いて忘却術をかけたことを後で明らかにしています。そしてロックハート先生は、杖の逆噴射により自身が唯一自慢に思っている忘却術によってあらゆることを忘れてしまいます。まずは彼自身の忘却術を解くことが必要でしょうが、恐ろしく複雑な忘却術なのかもしれません。ロックハート先生の回復を、彼自身のためではなく狼人間のために切望しています。(現在は魔法使いの病院にいるとのことです。(BBCインタビュー 2000年秋情報による))
【最後に】希望的推測や物語のあれこれを考えながらまとめてみました。今後のルーピン先生の活躍と再登場に期待しています。
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